Wednesday : 2006.08.23

ブレーカーのあて板に石綿(アスベスト)が

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先日、東京電力から【重要】と書かれた1通の封筒が届きました。銀行口座の残高が足りなくて、電気代が落ちなかったのかと思いきや、今回はそれではなく、なにやら大きな赤字で物騒なことが書いてあるではありませんか。

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当社では、お客様の宅内に石綿(アスベスト)を含有したアンペアブレーカーあて板を設置しております。
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築50年の古い家ですから、何があってもおかしくないとは思いますが、前置きなしにいきなりアスベストの存在を告知されると、やはり驚きますね。テレビの向こうの話と思っていたアスベスト問題が、突然我が家に降って湧いたわけです。


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*画像をクリックすると拡大します。

開封して案内に目を通すと、以下のことのようです。

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(我が家の)アンペアブレーカーの裏側に「あて板」と呼ばれるプレートがあり、その中に石綿(アスベスト)が使用してある。石綿(アスベスト)はプレート状に固め金属板で覆ってあり、飛散性はなく、健康に悪影響をもたらすものではない。そのまま使用しても特に問題はないが、無料で撤去する。
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危険性がないのであれば、記念に残しておこうとも思いましたが、妻と相談した結果、やはり東京電力に連絡をして、取り外してもらうことにしました。


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翌日、東京電力の職員がやってきて、問題の石綿(アスベスト)入りのあて板を確認し、早速、撤去作業に取り掛かります。シールド付きのヘルメットを装着したままで作業する東京電力の職員。安全だとわかっていても、写真で見ると、なにやら物々しい工事をしているようにも写りますね。

職員いわく、「あて板に熱対策の必要がないことは、随分前に分かっていたのですが、当時はまだアスベストの危険性が明らかにされていなかったので、そのままにしてきたのです。」とのこと。

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上の写真は、作業前(左)と作業後(右)。矢印の銀色のあて板が無くなったことを確認できます。あて板の撤去後は、アンペアブレーカーを直接壁面にネジ止めすることになりますが、ブレーカーは加熱対策が施されており、あて板を取り外しても安全上問題はないのだそうです。

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問題のあて板も見せてもらいました。一見ただの金属板で、どこにアスベストがあるのかと思ったら、裏返すと石綿が出現しました。どこかで見たことがある物質だと思ったら、小学生のときに理科の実験でアルコールランプの上に置いた網の中心に付いていた白い“あれ”です。“あれ”を数倍分厚くしたもの。

確かに、石綿(アスベスト)はプレート状に固め金属板で覆ってあり、そのまま使用する分には、飛散の心配はなさそうです。東京電力としても、粉塵測定をして、飛散が無い事を確認しているそうですが、アンペアブレーカーの取り付けネジによって空けられたネジ穴が石綿を貫通していますので、取り外しの際には、ポロポロと石綿のかけらや削りくずが落ちるようなことが無いとも限らないような気もしました。


東京電力は2000年より建物検討委員会を設け、アスベスト問題に取り組んできたそうですが、昨年7月、アスベストに対する社会的関心の高まりを受け精査したところ、一般の家庭内にあるアンペアブレーカーのあて板部にアスベストが含有されていることが判明しました。このあて板は、昭和63年以前に製造された単相2線式30アンペアブレーカの裏側に使用されていたもので、その数は180万個に及ぶといいます。

今回、東京電力は、『そのまま使用していれば問題はないが、家庭内にあるアスベスト含有製品の存在をあえて知らせるべきかどうか。』という難しい問題に、正面から取り組んだと言えます。「アスベスト含有製品は安全だが、回収させていただきます。」という、矛盾した内容の通知を行うにあたっては、表現に苦慮した様子が伺えました。

晴れて、アスベストから開放された我が家。今回、私が感じたのは以下の2点。

1)アンペアブレーカーごと新品に交換してくれたら嬉しいのに
2)作業完了の確認印(サイン)を取った方が良いのでは?

  • アスベスト問題と向き合う(前編)/SAFETY JAPAN [特集]/日経BP社

  • 一般家庭の一部のアンペアブレーカの裏側にある「あて板」について



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