Monday : 2005.05.16

1年間はそのまま住む、そして見極める

念願かなって、古い家に移り住んだ私たち夫婦。「リノベーション」「コンバージョン」といった新しい“住”の価値観が注目を浴び、メディアで取り上げられる機会が多くなった昨今、夢は広がります。私たちの家も、今はボロ屋でも、いつかは雑誌で見た家のようにオシャレに生まれ変わるのでしょうか?

ただ、私たちはここをCafeにするわけでも、雑貨屋にするわけでも、事務所にするわけでもありません。出来れば向こう数十年間に渡り、生活を営む“住空間”として住まい続けたいと願うわけです。では最初にすべきことは何でしょう。

私が考える、リノベーション計画で最も大切なことは、まず1年間住んでみることです。それは、築35年の家に住んで学んだことですが、とにかく四季を体感してみないことには、その土地・物件固有の問題を掌握できません。低気密な古い家ほど、室外の環境が室内にダイレクトに反映されるものです。夏どれくらい熱いのか。冬どのくらい寒いのか。梅雨期はどのくらいの湿気があるのか。震度3くらいの地震が来た時どれくらい揺れるのか。長雨や暴風、台風にさらされたとき家はどうなのか。電気やガスはどのくらい必要なのか。その他、日当たり、音、ご近所問題に至るまで、それらはそこに住んだ者にしかわかり得ない重要なデータです。また、生活する中で家の痛みの進行具合もわかります。

そして、すべきことは、「我慢できるところ」と「我慢できないところ」の見極めです。性急に補修を要する箇所もあれば、慣れ(やあきらめ)で解決できること、また、後回しにできる問題もあるでしょう。

大体、テレビのリフォーム番組のように、1千万円クラスの予算をもってすれば、どんな家だって劇的に変貌するのです。しかし、私たち夫婦にそんなお金はどこにもありません。私たちが目指したのは、『車を購入するくらいの経済感覚(予算)で家を何とかする』です。そこで必要なのは、自分たちで出来ることは自分たちでする“DIY精神”と、我慢できることは我慢する“貧乏スピリッツ”の二つでしょうか。現に私たち夫婦は入居後、お湯の出ない(給湯機の無い)水だけの水道で、半年間生活したのでした。



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