Sunday : 2005.05.15

古い家を求めて

今からちょうど1年前の2004年6月、私たち夫婦はおよそ築50年の古い家に移り住みました。 “古民家”と呼べるほどの風情もなく、ただ古いだけの昭和30年代の小さな家。それは、ちょうど自分の親たちが幼少期を過ごした、そんな戦後の家です。

かねてから古い家に限定した物件探しを、半ばライフワークにしていた我々夫婦は、足しげく中古物件巡りをしていましたが、なかなか琴線に触れる物件に出会えずにいました。そのとき既に築35年の家に住んでいましたから、大抵の古さには驚きませんでしたが、逆に私たちを冷めさせたのは、不動産屋が行う一辺倒なリフォームでした。

古い物件ばかりですから、どこかしら改修されているのが常でしたが、その多くは、壁に石膏ボードを張りめぐらせてビニールのクロスで覆い、外壁はサイディングしてしまうといった具合で、現在の施工法としては一般的なのでしょうが、古さをただ覆い隠してしまうやり方が、私たちは気に入りませんでした。完全に古いままで残っている物件もまれにありましたが、しかしそれはそれで痛みが目に余ったり、何かしら他の問題もはらんでいたりして、古い家探しは一筋縄では行きません。

それでも気長に家探しをしていた私たちですが、ある日、足を運んだとりわけ古い家に、いつにない感覚を覚えました。かつて下宿屋を営んでいたというその家は、何度かに渡り手が入れられていましたが、家の多くは建築当時の趣をとどめていました。水回りも数十年前のままで、現在の生活様式から考えると、なかなか苦戦を強いられそうです。それでも私たち夫婦は、このぽつんと取り残されたこの古い家が気に入りました。年代的には「サツキとメイの家」といったところでしょうか。

結果的に私たちは、この家に移り住むことにしました。

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